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2022/9/29

【建築ビジュアライゼーション】360°パノラマVRってプレゼンに使える!?

360°パノラマVRって皆さんご存じですか?
「パノラマVR」、「360°パノラマ」、「360°全天球パノラマVR」などと呼び方はいろいろあるようです。この記事では、360°パノラマVRの説明と建築ビジュアライゼーションの中での活用法などをご紹介していきたいと思いますので、ぜひご覧ください。

360°パノラマVRとは?

先日、お客さんから「360°パノラマVR」について聞かれてちょっと戸惑ってしまって・・・「360°パノラマVR」に教えてもらえますか?

VR(バーチャルリアリティ)やメタバースという言葉を最近よく耳にしますよね。ヘッドマウントディスプレイなどを利用して没入感を楽しむコンテンツというイメージを抱く方も多いと思いますが、実はヘッドマウントディスプレイを利用しなくてもPCやスマホ、タブレットなどでも利用できるんです。その中のひとつに「360°パノラマVR」と言う技術があるんです。

ウォークスルーができるVRのように、空間を自由に移動することはできませんが、予め用意された任意の場所をユーザーが指定し、そこから見える情景を360°確認できる空間コンテンツで、まるでその場所にいるかのような疑似体験を可能にしてくれる技術なんです。

身近なところでは、横井さんも使うことが多い「Googleストリートビュー」にも360°VRの技術が活かされていて、目的の場所や訪れたことのない場所なども、疑似的に見て楽しむことができますよね。とても画期的なサービスなんですよ。

活用されている分野は?

360°パノラマVRは、前述のGoogleストリートビュー以外にも様々なところで利用されていますよね、いくつか紹介してもらえますか。

観光や不動産、学校案内といったところでも利用されていますので、いくつか紹介していきますね。

大学・専門学校など

・東京工科大学/バーチャルオープンキャンパス(八王子キャンパス)
  WEB上で体験入学ができるサービスが数年前から増えて、多くの学校がホームページなどに取り入れてます。

サイト名:東京工科大学 八王子キャンパス
https://vr360.heartcore.co.jp/Y6ftE94mt9n/

観光施設

・ヴァチカン美術館/システィーナ礼拝堂
  普段は写真撮影不可のシスティーナ礼拝堂も、自宅にいながらその芸術を体感することができます。

サイト名:MVSEI VATICANI
https://www.museivaticani.va/content/museivaticani/en/collezioni/musei/cappella-sistina/tour-virtuale.html

不動産

不動産業界では、WEB上で内覧ができるサービスが数年前から増えていますよね。

サイト名:PMO PREMIUM MIDSIZE OFFICE
https://www.pmo-web.com/panorama/

現場管理用アプリ

360°パノラマVRで現場の情報を管理できるクラウドアプリケーションなどもあります。

サイト名:株式会社センシンロボティクス
https://www.sensyn-robotics.com/news/sensyn360

上記のような様々な業界で利用されています。それぞれに共通する点は、次のような点が挙げられます。
・インターネットを通して見ることができるので、その場所に行かなくても疑似的な体験を提供することができます。
・1枚もしくは数枚の画像よりも圧倒的に情報量が多く、見る側もシームレスに空間として把握することができるので、訴求力を高めることができます。
・見ていて楽しいですし、より興味付けをすることができます。マウスをくるくる回していると、ついつい時間が過ぎてしまって。

建築設計業務での有効性は?

いろんな業界で360°パノラマVRは活用されているんですね。建築設計業務では、どのように活用されていますか?

前述では、さまざまな業界での事例を少し紹介しましたが、私たちが普段仕事をしている建築ビジュアライゼーションの業界でも、360°パノラマVRを活用するケースもあります。そのあたりを少し紹介していきますね。

①コンペなどのプレゼンテーションの場

コンペなどのプレゼンテーションでVRを使いたいといった相談もあります。3D空間を自由に移動できるウォークスルーVRを使う場合もありますが、限られた時間やプレゼンの場に出席する方の操作スキル、ハイスペックなPCや設備などを考慮し、手軽に操作できる360°パノラマVRを用意して、ヘッドマウントディスプレイやスマホを使って提案する素敵な空間を感じてもらうといったケースもあります。

機材の持ち運びや担当者の操作スキル、突然のトラブルといったリスクを考慮すると、手軽な360°パノラマVRは都合がよく、実はご要望も多かったりします。

②現場打ち合わせや定例会議など

定例時には、図面やパース資料などを用意することが多いようですが、大事な会議に360°パノラマVRを活用したいということもありました。
「そう言えば、〇〇ってどうなってるんでしたっけ、ちょっと見せてもらえますか?」って想定外の展開になることもあるそうです。この議題を集中的に協議したい場合には、ウォークスルーVRよりも有効な点もあるようです。

③事業主へ提供するデータとして

事業主から社内でもプレゼンテーションや検討できるデータを要望されることも多いようです。BIMも進んでおり3Dモデルデータがある場合も多いので、BIMデータを渡すということも考えられますが、事業主側のソフト環境や操作スキル、PCスペックのこともあり、データ量が軽く簡単に操作できる360°パノラマVRを求められることもあります。この場合は、平面図に視点位置などを記したり、次の視点に移動できるようにオーサリングしたデータを提供することも多いです。
例えば、以下のようなイメージです↓

360°パノラマVRはどうやって作るのか

360°パノラマVRってどのように制作するんですか?

360°全天体画像としてレンダリングをすれば360°パノラマVRとして使用することができます。例えば、パースを作成した3Dモデルデータをベースに360°見渡した時に足りない箇所のモデリングを行い、360°全天体画像としてレンダリングをすることでベースとなる画像ができあがります。その画像を用途に応じて、レタッチを加えたり、オーサリングを行ったりします。

では、実際に私たちが制作した作品で紹介致します。

↓これが360°全天体画像になります。

↓360°パノラマVR
上の360°全天体画像を360°パノラマVRのビュワーに通すと、このように空間を見渡すことができます。

360°パノラマVRとVR(ウォークスルーVR)のメリット・デメリット

なるほど~、ケースバイケースでウォークスルーVRがよかったり、360°パノラマVRのほうが向いていたりする訳ですね。それぞれのメリットやデメリットについて教えてもらえますか。

ここまでは360°パノラマVRの紹介をしてきました。VRというと3D空間を自由に移動することのできるウォークスルーVRをイメージすることが多いのではないかと思います。前述で紹介したように、360°パノラマVRは手軽さや利便性といった点で、ウォークスルーVRよりも有効となる場合もありそうです。
ウォークスルーVRは、見ている人が自由に見ることができる為、本来狙った議論から脱線するといった話を聞いたこともあります。また、設備的にもスペックの高いPCやより没入感を感じられるためにはヘッドマウントディスプレイの用意が必要となり、場合によっては360°パノラマVRのほうが都合がいいなんてこともあるそうです。

360°パノラマVRとウォークスルーVRのメリット・デメリットを簡単にまとめてみました。実際の業務を通して、以下のように感じています。

360°パノラマVR ウォークスルーVR
メリット ・データ量が少ない為、ハイスペックなPCや専用の設備がなくてもプレゼンテーションを行うことができる
・操作がとても簡単で、誰でも使いやすい
・設計側の見せたいところや意図するところを絞って見せることができる
・原寸大の設計の中に入り込むことが可能になり、イメージの共有がしやすく、合意形成の早期化に役立つ
・細部まで構造をチェックすることで、設計ミスの発見や施工手順の確認など、業務の効率化につながる
デメリット ・予め用意された視点しか見ることができない
・細部までのチェックを行うには、限界がある
・ウォークスルーVRと比べ若干物足りなさがある
・大きなデータ量でもサクサク動くハイスペックなPCとヘッドマウントディスプレイなどの設備が必要になる
・プレゼンテーションに使用する為には、予め操作に慣れておく必要がある
・空間を自由に動くことができる為、議論が意図しない方向に向かう可能性もある

最後に

今回は360°パノラマVRについての説明と建築ビジュアライゼーションの中での活用法などをご紹介いたしました。360°パノラマVRも、場合によっては有効なプレゼンテーション用のコンテンツとなりそうです。
弊社でも360°パノラマVRも制作しておりますので、360°パノラマVRかウォークスルーVRかなどお悩みの方は、今までの経験も踏まえてご提案などもいたします。
ご興味のある方はこちらまで↓お気軽にお問合せください!!

岡田:東京オフィス(okada@aqua-c-lab.com/080-4582-7616)
横井:名古屋オフィス (yokoi@aqua-c-lab.com/070-1494-6059)

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